●分類:ロウバイ科ロウバイ属 落葉低木 ●学名:Chimonanthus praecox f. concolor ●原産地:中国 ●英名:Wintersweet
学名のキモナンサスはギリシア語で「冬の花」を意味します。真冬に花を咲かせる花木です。12月から2月ごろ冬枯れのなか葉の展開に先立って花を咲かせます。
花弁は半透明で、蝋細工のような花で花全体が黄色で中央部の色の変化のないものがソシンロウバイ(素心蝋梅)です。ロウバイ(蝋梅)は中央部が暗紫色です。斑点や色の変化がないことが「素心」と呼ばれる所以です。マンゲツロウバイ(満月蝋梅)は、ソシンロウバイから選抜された園芸品種で、全体が黄色の花弁(やや濃い)であるのは同じですが、丸みを帯びています。花には高貴な香りがあります。
わが国へは明治時代に渡来したといわれています。高さは2〜5mになり卵形から長楕円形の葉が対生します。
日当たりの余りよくない半日陰の場所でも育ちますが、花付きがよくないので、できるだけ日当たりのよい場所で育てた方がよいです。西日の強い場所は避けます。日本の気候によく合った木ですので、冬の寒さや夏の暑さにとりたてて気を使う必要はありません。
植え付けは落葉時期に行いますが、真冬の厳寒期は避けます。植える場所にはあらかじめ堆肥や腐葉土を充分に混ぜ込んでおきます。植穴は苗に対してやや大きめに掘り、排水をよくするために株元がまわりの地表よりやや高くなるように植え付けます。植え付け後は極端な乾燥を避けるためにワラや不織布などで株元を覆います。一度庭などに植え付けてしまうと、移植するのは難しい木です。どうしても移植しなければいけない場合は、一年くらい前から根回し(樹木の植わっている状態でスコップなどを土にさして根を切ることにより、そこから新しい根を発生させて、植え替え後も根付きやすくさせるための作業)を行う必要があります。
土がやや過湿になるような場所ではあまりよく育たず、葉がしおれたりすることがあります。かといって乾燥しすぎる場所もよくありません。排水性のよいことが大切ですので、植える場所には腐葉土などをあらかじめたっぷり混ぜ込んでおきます。
植え付けて根付くまでは乾燥させないように気を付けます。
肥料は油粕と骨粉を同量混ぜ合わせたものを株元に1〜2握り施します。時期は1月下旬〜2月上旬、8月下旬の年2回。チッソ分が多すぎると枝が間延びしたり葉が必要以上に茂る原因になりますので気を付けます。
その年にのびた枝に花芽を付けます。しかし、勢いよく伸びた枝や、間延びした長い枝にはほとんど花芽を付けずに、枝や幹の基部に付く短い枝に花芽を付けます。
剪定はいずれも落葉後、11月頃もしくは花後の3月頃に長くのびた枝をつけ根から20cmほど残して、短く切りつめます。短い枝であっても木の内側に向かってのびている枝は光をさえぎり株元まで充分日光が当たらない原因にもなりますので切りつめます。花が付いた枝でその後、長くのびた枝は5〜6年くらいで短く切りつめます。
また、根元から「ひこばえ」と呼ばれる長くて勢いのある枝がたくさん出てきますが、樹形を乱し、株の勢いを衰えさせるので2〜3本を残してあまり大きくならないうちにかき取ってしまいます。
タネまきと接ぎ木で増やすことができます。ソシンロウバイは接ぎ木で増やしても特に生育に問題はありませんが、普通のロウバイは接ぎ木で増やしても花付きがまばらになってしまいます。接ぎ木は基本的に「呼びつぎ」で行い、台木にはタネから育てた3〜4年生の株を使用します。
作業の適期は3月頃です。 タネまきは10月頃に果実ができるので、その中のタネを取りだしてすぐまきます。秋にまくと、年内には発芽します。苗は寒さに弱いので、霜や風の当たらない場所で育てます。生長は早く2年くらいで30〜60cmの大きさになります。
病気、害虫の心配はほとんどありません。